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心臓発作~ インターベンション治療 ~
心臓発作(心筋梗塞)は、生死にかかわる緊急事態であり、直ちに治療を受ける必要があります。心臓発作は、心臓部分への血流が突然途絶え、心筋細胞に十分な酸素を供給できなくなるために起こります。通常、心臓発作は一本または複数の冠動脈が閉塞することによって引き起こされます。血液が供給されなければ、心臓は正常に機能しません。心機能が低下し、場合によっては完全に停止します。完全に停止すれば、突然死に至ることもあります。心血管疾患は若干減少傾向にあるものの、欧州では依然として死因のトップであり、ほぼ2人に1人が心血管疾患で死亡しています(※1)。米国では、毎年、約100万人が心臓発作を起こし、そのうち12万人が死亡しています(※2)。心筋のごく一部に傷害を生じると、心臓は損傷を受ける可能性はありますが、その後もそのまま機能することができます。ただし、心臓の血液循環障害が長引くと、心筋細胞が壊死し、そこに瘢痕組織(はんこんそしき)が形成される可能性が高くなります。この瘢痕組織は筋肉として機能することはできず、心臓が本来の能力や機能を取り戻すことは決してありません。場合によっては、瘢痕組織は、心臓の活動を制御する電気的刺激を伝達することができず、心拍が乱れる原因となります。心臓が重度の損傷を受けると、軽度のストレスでも負荷がかかり、致命的な心臓発作を引き起こす可能性があります。したがって、できるだけ早く血流障害を見つけて治療することが重要です。
原因と危険因子
心臓発作の主な原因の一つとして、冠動脈の狭窄を特徴とする冠動脈疾患があります。一般に、冠動脈疾患は動脈硬化症(動脈壁の肥厚および硬化)が原因です。また、他の血管疾患、瘢痕組織、心不全または心拍障害によって心筋の血液循環が阻害される場合もあります。
心筋梗塞のハイリスク要因として、遺伝的素因、加齢(男性:45歳以上、女性:55歳以上)、バイパス手術の既往が挙げられます。これらの危険因子は変えることができません。 ただし、次のような危険因子については、適切な治療を受けたり、生活習慣を改善したりすることで軽減・緩和することができます。
- 高血圧
- 高脂血症(特に高LDL(悪玉)コレステロール)
- 糖尿病
- 喫煙
- 体重超過または肥満
- 運動不足
- ストレス
自覚症状
通常、心臓発作は何の前触れもなく突然起こります。その症状は人によってさまざまです。一般に、発症の仕方は男女で大きく異なります。心臓発作の約3分の1では、ほとんど症状が出ないため、患者さまご本人は心臓発作を起こしたことに気づいていません。このような発作を無症候性の心筋梗塞といい、糖尿病患者さまに多くみられます(※3)。多くの場合、心電図検査中に偶然発見されます。
男性では、一般に、胸骨の真下で激しい痛みが続きます。胸痛は通常、狭心症によって引き起こされる痛み(冠動脈疾患による痛みまたは不快感)よりもはるかに長く続きます。胸の痛みは腕、肩、あごまたは上腹部まで広がることがあります。冷や汗がどっと出てきて、息切れや吐き気を伴い、失神を起こします。
女性では、上記の症状を呈することもありますが、吐き気と嘔吐を伴う上腹部痛が一般的です。
心臓発作は生命に危険を及ぼし、合併症をもたらすこともあるため、ご自身や身の周りの方が心臓発作を起こしている疑いが少しでもあれば、必ず救急対応を要請してください。
診断
心臓発作を迅速に診断するための最も重要な検査は心電図です。 心臓発作が心電図所見で確認された場合、その後に発生する可能性がある不整脈を見逃さないために、心電図でモニターを行います。
次のステップとして、医療チームは心臓の病変部位を特定し、どの冠動脈に障害をおこしているかを判断する必要があります。そのためには超音波を用いた心エコー検査により心臓を調べます。冠動脈の検査は通常、病院のカテーテル検査室でカテーテルを用いて行われます。また、血液検査も行い、心臓発作を起こしていたかどうかやその重症度を確認します。CT、MRIといった検査からも、追加の情報を得られることがあります。